Teppatsu Dolphin Festival

Sinse 2001

シイラのキャッチ&リリースについて

 

キャッチ&リリースの目的はゲームフィッシュの保全です。親魚を逃がすことで産卵に繋げ、できるだけ魚を減らさずに、毎年ゲームフィッシングを楽しみましょうという考え方です。

 

タグ&リリース(標識放流)から得られたデータによれば、特にC&Rが必要と考えられるのは成長が遅く定着性の高い魚、たとえば石物やアカメ、GTなどと言われており、これらの魚種は職漁のターゲットになっていないこともあり、その効果は釣り人自身の利益(楽しみ)にそのまま反映すると考えられます。

 

しかし、釣りはいろいろで、たとえばクロマグロが釣れすぎてリリースしたという話しは聞きません。それはクロマグロのキャッチ率は低く、漁業全体から見ても釣り人へのヒット数は少ないからです。

もし、クロマグロ釣りに必釣のメソッドが見つかり、ポピュラーなゲームになればキャッチ&リリースの必要性や漁業との調整が生まれてくるかも知れませんが、巨大な野生はそんなに甘くないというのも現実なのです。

 

また、人気魚種のシーバスはタグ&リリースの歴史も長く、それによれば同じシーバスが時をあけて何度も釣られることや、大型と言われるサイズにまで成長するのに想像以上に時間がかかることなど興味深いデータも得られています。

シイラのタグ&リリースも長い間行なわれており、再捕獲も多く、日本沿岸での移動ルートが確認できたり、かなりのダメージを負った魚でも回復しルアーに反応することもわかりました。

しかし残念なことに、年を越した再捕獲がいまだにありません。

その理由のひとつに、せっかく打ったタグが抜け落ちてしまうことが考えられます。黒潮を高速で泳ぎ回るシイラから振り落とされてしまうのです。従って回遊ルートも不明のままです。

この謎の多いシイラに日本近海でのキャッチ&リリースがどう影響するのかはまったく不明です。だからと言ってペンペンを乱獲するのもナンセンスでしょうし、反対にチャミング船で釣ったカツオを片っ端からリリースするのも同じくナンセンスと言えるでしょう。

 

シイラはリリースしてもワラサは持ってかえればパパはお家のヒーローです。子どもたちを喜ばせてあげてください。ただしお隣さんの分までキープするのは控えましょう。

こういった釣り人の自主的な持ち帰り制限のことを「バッグリミット」と呼んでいます。

これは今後、遊漁が漁業と共存していくキーワードになるかもしれません。

いずれにしても、どの魚種も、たくさん釣る人、つまり釣行回数もヒット数も多いエキスパートほどキャッチ&リリースが必要です。

 

■参考:オーストラリアのバッグリミット(サイズリミット)例

バッグリミットが0尾の魚種や、ワーム類やアンチョビ(エサ)などにもリミットが設定されています。

 

キャッチ&リリースは強制されるのものではありません。また、キャッチ&リリースは時として感情的な行為として解釈される場合がありますが、決してかわいそうとか、かっこつけでするものではなく、あくまでも私たちアングラー自身の今後の利益(楽しみ)のために、期待を込めて行なうものなのです。

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